来秋に消費税10%     財界の宿題 執着する安倍政権

安倍晋三首相は自民党総裁選中も、当選後の記者会見などでも、来年10月から消費税の税率を現在の8%から10%に引き上げることについて、「予定通り実行したい」と断言しています。そして、10%の痛みをやわら げるためとして、食料晶などを税率8%に据え置く「軽減税率」を導入するといいます。

これを受けて中西宏明経団連会長(日立製作所会長) は、「確実に引き上げてほしい」とのべました(10月2日)。中西氏は5月末の経団連会長就任にあたり、10%に引き上げたとしても欧州各国など他国の水準に比べ日本の消費税率は低いとして、さらに上げるべきだと主張しています。

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この中西氏の「他国より低い」との発言は間違っています。食料品にかかる消費税率は、イギリス0%(標準税率20%)、ドイツ7%(同19%) 、 フランス5.5%の(同20%)と、現在の日本の8%より低いのです。

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そもそも、政府は食料品の税率8%を「軽減税率」と呼びますが、これは食料品に8%の高税率適用を続けるもの。世界的にみても負担の重い食料品の消費税率の維持にほかなりません。

総務省の家計調査(2人以上の世帯)によると、2017年度のエングル係数(消費支出に占める食費の割合)は25.8%。安倍政権発足前(2012年度、23,4の)と比べると2.4%も上がりました。食料品への高い課税は生活を直撃します。

安倍政権は、増税により消費が減少する「反動減」への対策として、前回増税時に禁止した「消費税還元値引きセール」の解禁、住宅ローン減税の拡充、自動車関連税の軽減などをちらつかせています。

早速、飛びついたのが自動車メーカーです。日本自動車工業会自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は記者会見で、消費税増税や米国の輸入自動車関税引き上げの動きを理由に、自動車関係税の減税を求めています(9月20日)。 現在、トヨタクラウンの自動車税は年5万1千円(排気量 2・5????超3????以下)。それを軽自動車税(年1万800円)並みにしろと要求しています。

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これがまかりとおるのは献金の力です。自民党の政治資金の受け皿団体である「国民政治協会」は、16年に自工会から8040万円、トヨタから一企業としては最高額の6440万円もの巨額献金を受けています。

今年5月に行われたマレーシアの国政選挙は消費税の是非が大きな争点になりました。この選挙でマハティール元首相が統率する野党連合が勝利し、新政権は6月1日から消費税の税率を6%から0%にし、実質的に消費税を廃止しました。

9月30日の沖縄県知事選では新基地反対の「オール沖縄」。玉城デニー氏が、安倍政権丸抱えの相手候補を大差で破っています。

これらの選挙の教訓は、市民と野党が本気で協力すれば、消費税増税固執する安倍政権の野望を葬り去ることができるということです。

浦野広明(うらの・ひろあき 立正大学客員教授